オリジナルアクリルコースターの作り方

透明度の高いアクリルにフルカラーの印刷が映える人気のアクリルコースターですが、いったいどのような工程を経て作られているのでしょうか。デザイン制作から切り出し、印刷、検品、梱包までアクリルコースターの作り方を紹介します。

アクリルコースターとは?

アクリルコースターとは?

アクリルコースターとはその名のとおりコップやマグカップの下に置いて使うアクリル製のコースターです。アクリル製のため紙やコルク、布製のものと違い衝撃に非常に強く、ぬれて破れたり、落としたショックで割れてしまうことはありません。多少汚れても水洗いすればキレイになるので繰り返し使えて環境にやさしいのも特徴です。

コースター本体はアクリル製のため好きな形にカットしてフルカラーでの印刷が可能です。カットは丸や四角、オリジナル型のほか、一部分をくり抜いたり、アクリルキーホルダーとして使用するためのボールチェーンをとおす穴をあけることもできます。またフルカラーでの印刷はクリアなアクリルにとっても映え、透明度を活かしたグラデーションや半透明印刷も行えます。

アクリルコースターは実用性が高いので飲食店のオリジナルコースターとして、またブランドショップやアニメグッズショップでの販売品、自作イラストを印刷して同人イベントでの販売など多彩な用途で使用されています。最近ではアニメやゲームをテーマにしたコラボカフェやカラオケボックスでのオリジナルグッズとしてもよく使われています。

デザインデータの作成

オリジナルアクリルコースターの制作にあたり、まずはじめにすることはデザインデータの作成です。コースター本体の大きさや形状、印刷するデザインを決めていきます。

デザインデータの作成

大きさ、形状、デザインを決める

オリジナルアクリルコースターのデザインを作成するにあたり決めることはコースター本体の大きさと形状、印刷するデザインの3つです。まず大きさですがあまり大きすぎても小さすぎても使いずらいので、一般的なコースターの大きさ(縦横75mm〜100mm。くわしくはこちらのコラムを参照)を参考にするのがよいでしょう。

形状は丸や四角が定番ですがアクリルはある程度自由にカットできるので、星型やハート型、印刷するイラストをふちどるような形状にするとオリジナル感がでます。また一部分をくり抜くことでデザイン性が増し、コースターとしてだけではなくアクリルスタンドのように部屋のディスプレイとしてもお使いいただけます。

印刷するデザインですが飲食店での利用なら店名やロゴマーク、電話番号、URLなどが、販売用であればキャラクターイラストや動物の写真、自作のイラストなどが一般的です。またボールやタイヤ、ドーナツ、レコード、地球など、丸い形を活かしたデザインにするとユニークなアクリルコースターを作成できます。

デザインデータを作るときの注意点

アクリルコースターのデザインデータを作る際はほかのアクリルグッズと同じように「カラー設定はCMYKになっているか」「フォントはアウトライン化されているか」などいくつかの注意点があります。とくにアクリルコースターで気をつけることはデザインをフチのギリギリまで入れないことです。丸や四角の形状を活かしてフチに沿うようにラインや文字を入れると印刷がずれて切れてしまうことがあります。デザインはフチより1.5mm以上内側に配置しましょう。なおこれらの注意点はテンプレート内に記載されているのでよく確認してから作成してください。

レーザー加工機でアクリル板をカット

デザインデータが完成したらコースターの形状にレーザー加工機でカットします。レーザー加工機とはアクリルや金属、木材などにレーザーを照射して、切断、穴あけ、彫刻を施す機械のことです。太陽の光を虫眼鏡で集めて紙に当てると焦げ目をつけられますが、これと同じ原理でレーザーを一点に集中させて素材を加工していきます。

カットをするにあたりまずはカット用のデータを作成します。A2やA3サイズのアクリル板からなるべくたくさんのコースターを切り出せるよう、位置や向きを調整しながら配置するのがポイントです。レーザー加工機にカット用のデータを取り込んだら切り出し開始です。レーザーを照射するヘッドがコースターの形状をふちどるように移動しながらコースターを切り出していきます。縦横90mmのコースターをA2サイズのアクリル板から切り出すには約15分ほどかかります。

レーザー加工機でアクリル板をカット

UVプリンターでデザインデータを印刷

コースター本体の切り出しを終えたらいよいよ印刷です。切り出したアクリルに付着している汚れと静電気を除去したらデザインを印刷していきます。

アクリルの汚れと静電気を除去

まずはキレイに印刷できるように切り出したアクリルの汚れと静電気を除去します。アクリルに汚れがついているとインクがうまくのらなかったり印刷がボヤケてしまいますので、メガネ拭きでキズがつかないようやさしく拭き取ります。静電気は除電器という専用の機械で除去します。スイッチを入れるとイオン化した風が吹き出るのでアクリルの両面にしっかり当てて除電します。アクリルコースターはアクリルキーホルダーモーテルキーに比べてサイズが大きいので、汚れと静電気の除去はしっかり時間をかけて行ないます。

アクリルの汚れと静電気を除去
アクリルの汚れと静電気を除去

UVプリンターで印刷

アクリルの汚れと静電気を除去できたらUVプリンターにセットして印刷です。念のためホコリ吹きでホコリを飛ばしておきます。UVプリンターとはUVとあるように紫外線でインクを固めながら印刷するプリンターのこと。印刷中にインクを吹き出すヘッドを見ていると紫外線のライトがピカッと光るのがわかります。インクは瞬時に固まるので印刷後すぐに印刷面をこすってもカスれたりにじむことはありません。まずは数個でテスト印刷をして、色味や印刷位置に問題なければ本番印刷に移ります。印刷面においてもアクリルキーホルダーモーテルキーよりも広いので、印刷にはより多くの時間がかかります。

UVプリンターで印刷
UVプリンターで印刷

印刷したコースターを検品

すべてのコースターの印刷が完了したら検品を行います。検品とはデザインデータの色味どおりに印刷ができているか、汚れやキズがついていないかをチェックすることです。印刷する際にテスト印刷で色味は確認していますが、大量に印刷をしたりインクを入れ替えた際に色味が変わってしまうことがあります。始めのほうに印刷したものと最後のほうに印刷したものを見比べて、色味が変わっていないかチェックします。また切り出しや印刷の際、気が付かないうちにキズが付いてしまっていることもあります。アクリルは透明ですので少しのキズでも目立ちます。キズがついていないか細かいところまで確認します。

印刷とキズのチェック

OPP袋に包装して完成

検品が終わったらOPP袋に個包装して完成です。OPP袋とはダイレクトメールでよく使われている透明のビニール袋のことです。向きがバラバラにならないよう注意して包装し、ノリのついている面をしっかり押さえて封をすれば完成。最後にダンボールにまとめ梱包してお客様の元に発送します。

OPP袋に包装して完成

まとめ

アクリルコースターはデータ作成から始まりアクリルのカット〜印刷〜検品〜包装という工程を経て作成されていることがわかりました。アクリルを自由な形にカットして、オリジナリティあふれるアクリルコースターを作ってみてください。