耳元をおしゃれに演出する人気アクセサリーであるアクリルピアスは、いったいどのような工程を経て作られているのでしょうか。デザイン制作から切り出し、印刷、検品、梱包までアクリルピアスの作り方を紹介します。
アクリルピアスとは?
アクリルピアスとはカットしたアクリルにオリジナルのデザインを印刷したアクリル製のピアスです。アクリル製のため衝撃に強く、万が一落としたり踏んでしまってもキズがついたり割れてしまうことはありません。またピアスの素材としてよく使われる金属や天然石と比べて軽いため長い時間耳につけていてもストレスがなく重さも感じません。
ピアス本体はアクリル製のため好きな形にカットしてフルカラーでの印刷が可能です。カットは丸や三角、四角といったオーソドックスな形はもちろん、人、動物、乗り物などオリジナルの形状にも切り出しできます。フルカラーでの印刷は透明度の高いアクリルにとっても映え、ピアスのどちら側からもデザインが見える両面印刷も行えます。
アクリルピアスはかわいい見た目と安価な価格により人気のアクセサリーで、多くの雑貨屋さんやアクセサリーショップで販売されています。またハンドメイドでアクセサリーを作る作家さんたちにも人気が高く、minne(ミンネ)やcreema(クリーマ)といったハンドメイド作品販売サイトで数多く出品されているのも見受けられます。
デザインデータの作成
オリジナルアクリルピアスの制作にあたり、まずはじめにすることはデザインデータの作成です。ピアス本体の大きさや形状、印刷するデザインを決めていきます。
大きさ、形状、デザインを決める
オリジナルアクリルピアスのデザインを作成するにあたり決めることはピアス本体の大きさと形状、印刷するデザインの3つです。まず大きさですがこれといったキマリはありませんので、形状や印刷するデザインにあわせたサイズで結構です。ただ大きすぎると顔に当たってしまったり髪にからまってしまうこともあるので、ほどよい大きさ(30X30mm〜40X40mm程度)がおすすめです。
形状は丸やハート型などが定番ですがアクリルはある程度自由にカットできるので、英数字(1、2、3やA、B、Cなど)や印刷するイラストをふちどるように切り出すこともできます。なおアクリルピアスはアクリルキーホルダーやアクリルコースターと比べてサイズが小さめなので、複雑な形にしすぎて印刷面が狭くならないように注意が必要です。
印刷するデザインですがチェックやドットなどのパターン柄やブランドのロゴマーク、自作のイラストなど、かわいい系からシック系までどのようなテイストでもマッチします。2個1セットという特徴を活かして左右で異なるデザイン、左右で対になるデザインにするとオリジナルティあふれるユニークなアクリルピアスになるでしょう。
デザインデータを作るときの注意点
アクリルピアスのデザインデータを作る際はほかのアクリルグッズと同じように「カラー設定はCMYKになっているか」「フォントはアウトライン化されているか」などいくつかの注意点があります。とくにアクリルピアスで気をつけることはデザインを細かくしすぎないことです。アクリルキーホルダーやアクリルコースターと比べて印刷面が狭くなりがちですので、細かい模様にすると線がつぶれたり消えてしまったりうまく印刷できない場合があります。なおこれらの注意点はテンプレート内に記載されているのでよく確認してから作成しましょう。
レーザー加工機でアクリル板をカット
デザインデータが完成したらピアスの形状にレーザー加工機でカットします。レーザー加工機とはレーザーをアクリルや金属、木材などの素材に照射して、切断、穴あけ、彫刻をする機械のことです。黒い紙に虫眼鏡で太陽の光を集中させて焦げ目をつけたり、穴を開ける実験がありましたが、それと同じ原理で対象物にレーザーを照射して加工を行います。
大きなアクリル板からピアスの形に切り出すため、まずはカット用のデータを作成します。位置や向きをうまく調整してなるべくたくさんのピアスを切り出せるよう配置していきます。カット用のデータを取り込んでスタートボタンを押すと切り出しが始まり、レーザーを照射するヘッドが縦横に移動しながらピアスを切り出します。なお横縦30mmのピアスをA2サイズのアクリル板から切り出すには約20分ほどかかります。
UVプリンターでデザインデータを印刷
ピアス本体の切り出しを終えたらいよいよ印刷です。切り出したアクリルに付着している汚れと静電気を除去したらデザインを印刷していきます。
アクリルの汚れと静電気を除去
まずはキレイに印刷できるように切り出したアクリルの汚れと静電気を除去します。アクリルに汚れがついているとインクがうまくのらなかったり印刷がボヤケてしまいますので、メガネ拭きでキズがつかないようやさしく拭き取ります。静電気は除電器という専用の機械で除去します。スイッチを入れるとイオン化した風が吹き出るのでアクリルの両面にしっかり当てて除電します。
UVプリンターで印刷
アクリルの汚れと静電気を除去できたらUVプリンターにセットして印刷です。念のためホコリ吹きでホコリを飛ばしておきます。UVプリンターとはUVとあるように紫外線でインクを固めながら印刷するプリンターのこと。印刷中にインクを吹き出すヘッドを見ていると紫外線のライトがピカッと光るのがわかります。インクは瞬時に固まるので印刷後すぐに印刷面をこすってもカスれたりにじむことはありません。まずは数個でテスト印刷をして、色味や印刷位置に問題なければ本番印刷に移ります。
印刷したピアスを検品
すべてのピアスの印刷が完了したら検品を行います。検品とはデザインデータの色味どおりに印刷ができているか、汚れやキズがついていないかをチェックすることです。印刷する際にテスト印刷で色味は確認していますが、大量に印刷をしたりインクを入れ替えた際に色味が変わってしまうことがあります。始めのほうに印刷したものと最後のほうに印刷したものを見比べて、色味が変わっていないかチェックします。また切り出しや印刷の際、気が付かないうちにキズが付いてしまっていることもあります。アクリルは透明ですので少しのキズでも目立ちます。キズがついていないか細かいところまで確認します。
先端パーツを取り付け
ピアス本体の印刷が完了したら先端パーツ(ピアスフック)を取り付けます。先端パーツの取り付けにはマルカンと呼ばれる金属製の小さな輪っかを使用します。ペンチで広げたマルカンにピアス本体と先端パーツをとおして閉じれば取り付け完了。取り付けたあとはすぐに外れてしまわないか何度か振って確認します。また先端パーツは肌に触れるので洗浄シートで汚れを拭き取ります。
OPP袋に包装して完成
先端パーツの取り付けが終わったらOPP袋に個包装して完成です。OPP袋とはダイレクトメールでよく使われている透明のビニール袋のことです。向きがバラバラにならないよう注意して包装し、ノリのついている面をしっかり押さえて封をすれば完成。最後にダンボールにまとめ梱包してお客様の元に発送します。
まとめ
アクリルピアスはデータ作成から始まりアクリルのカット〜印刷〜検品〜包装という工程を経て作成されていることがわかりました。アクリルを自由な形にカットして、オリジナリティあふれるアクリルピアスを作ってみてください。