フィギュアのように立てて飾れるアクリルスタンドはどのような工程を経て作られているのでしょうか。そもそもアクリルスタンドとはどういったものなのか、そしてデータ作成から印刷、梱包まで、アクリルスタンドの作り方を紹介します。
アクリルスタンドとは?
アクリルスタンドとはフィギュアのように立てて飾れるアクリル製のオリジナルグッズです。フィギュアのような見た目からアクリルフィギュアと呼ばれることもあります。イラストやキャラクターが印刷された本体パーツを台座パーツに差し込むことで自立させられます。キャラクターの名前やアニメのタイトルが印刷されたサブパーツが付属している場合もあります。
本体パーツ、サブパーツ、台座パーツはお好みの形にカットして、デザインをフルカラー印刷できます。本体パーツに吊り下げ穴を付けてアクリルキーホルダーとして使えるようにアレンジされたものもあります。また完成品は一枚のアクリルのプレートにすべてのパーツがはめ込まれた状態で納品されますが、パーツ以外の箇所にも印刷を行えます。
アクリルスタンドは見栄えのするルックスによりキャラクターグッズとして使われる場合が多く、アニメのキャラクターやアイドル、スポーツ選手などが印刷されたものが数多く見受けられます。実際に作成する際の金額ですが10個注文で単価400円ほど、100個注文で単価300円ほどですので、企業のみならず個人の方でも気軽に作成できます。個人の方ですと自作のイラストを印刷して同人イベントで販売されることが多いです。
デザインデータの作成
アクリルスタンドを作るにあたってまずやることはデザインデータの作成です。各パーツの大きさと形、印刷するデザインを決めていきます。
大きさ、形状、デザインを決める
アクリルスタンド本体の大きさは横30〜70mm✕縦70〜200mmが一般的な作成可能サイズとなっています。観賞用としてデスクに置いたりディスプレイとして受付に置いたりと使用用途はさまざまですが、大きすぎてジャマにならないようあらかじめ計測してから大きさは決めましょう。形ですがアクリルはある程度自由な形状にカットできるので、印刷するデザインをふちどるような形に切り出すとオリジナリティやフィギュアっぽさがでるのでおすすめです。
印刷するデザインですがキャラクターのほか動物や乗り物などお好みで結構です。台座にも印刷をしてまるでステージに立っているようにしたり、サブパーツも用意してジオラマのようにしたりなど、アイデア次第で個性的なアクリルスタンドを作ることができます。印刷業者のサイトにデザインの大枠となるテンプレートファイルが用意されているので、このファイル内に画像や文字を配置していきます。
デザインデータを作るときの注意点
デザインデータを作るにあたり「差し込み用のツメと差し込み口は必ず同じサイズにする」「差し込み口は必ずカットパスとつながるように配置する」「差し込み口の角度が急だと折れやすくなるので急な角度にしすぎない」といったルールがテンプレート内に記載されています。ルールどおりに作成しないとエラーが出てファイルが開けなかったり、デザインどおりに印刷できない場合がありますの注意してください。
レーザー加工機でアクリル板をカット
デザインデータが完成したらアクリル板をレーザー加工機でカットします。大きな1枚のアクリル板から本体、サブ、台座パーツを切り出していきます。
レーザー加工機とは
レーザー加工機とはレーザーを照射してアクリルや金属、木材などを切断、穴あけ、彫刻する機械のこと。子供のころ虫眼鏡で太陽の光を集めて紙に穴を開ける実験がありましたが、それと同じ原理でレーザーを対象物に照射して加工を行います。A2やA3サイズの大きなアクリル板から指定されたパーツの形に切り出すため、まずはカット用のデータを作成します。1枚のアクリル板からなるべくたくさんのパーツを切り出せるように位置や向きをうまく調整して配置します。
レーザーでアクリル板をカット
カット用のデータをレーザー加工機に取り込んだら切り出し開始です。レーザーを照射するヘッドがアクリル板の上を移動しながらパーツを切り出していきます。A2サイズのアクリル板から横50✕縦80mmのパーツを切り出すには約15分ほどかかります。なお、いきなり数量ぶんのパーツを切り出すのではなく、まずは本体パーツと台座パーツを数個ずつ切り出して差し込み口のチェックをします。差し込んだときにぴったりサイズがあっていることを確認できたら数量ぶんを切り出します。
UVプリンターでデザインデータを印刷
すべてのパーツを切り出し終えたらいよいよ印刷です。切り出したアクリルに付着している汚れと静電気を除去したら本体、サブ、台座パーツを印刷していきます。
アクリルの汚れと静電気を除去
まずはキレイに印刷できるように切り出したパーツの汚れと静電気を除去します。パーツはキレイに見えてもホコリや指紋など汚れがついているものです。アクリルに汚れがついているとインクがうまくのらなかったり印刷がボヤケてしまいますので、メガネ拭きでキズがつかないようやさしく拭き取ります。静電気は除電器という専用の機械で除去します。スイッチを入れるとイオン化した風が吹き出るのでパーツの両面にしっかり当てて除電します。
UVプリンターで印刷
パーツの汚れと静電気を除去できたらUVプリンターにセットして印刷です。念のためホコリ吹きでホコリを飛ばしておきます。UVプリンターとはUVとあるように紫外線でインクを固めながら印刷するプリンターのこと。印刷中にインクを吹き出すヘッドを見ていると紫外線のライトがピカッと光るのがわかります。インクは瞬時に固まるので印刷後すぐに印刷面をこすってもカスれたりにじむことはありません。アクリルの切り出しと同様にまずは数個でテスト印刷をして、色味や印刷位置に問題なければ本番印刷です。なお印刷は本体、サブ、台座とパーツごとにまとめて順番に印刷していきます。
印刷したパーツを検品
すべてのパーツの印刷が完了したら検品を行います。検品とはデザインデータの色味どおりに印刷ができているか、汚れやキズがついていないかをチェックすることです。
印刷とキズのチェック
印刷する際に色味は確認していますが、大量に印刷をしたりインクを入れ替えた際に色味が変わってしまうことがあります。始めのほうに印刷したものと最後のほうに印刷したものを見比べて、色味が変わっていないかチェックします。また切り出しや印刷の際、気が付かないうちにキズが付いてしまっていることもあります。アクリルは透明ですので少しのキズでも目立ちます。キズがついていないか各パーツの細かいところまで確認します。
パーツのハマり具合をチェック
また印刷やキズだけではなくパーツの差し込み具合も最終確認します。差し込み用のツメが差し込み口より大きくて台座パーツに差し込めない、逆に差し込み用のツメが小さくてまっすぐ立たない、なんてことがあったらアクリルスタンドとして使用できません。手間はかかりますが1個1個しっかり差し込んでチェックします。
OPP袋に包装して完成
検品が終わったらOPP袋に個包装して完成です。OPP袋とはダイレクトメールでよく使われている透明のビニール袋のこと。各パーツを丁寧に重ねて、向きもバラバラにならないよう注意して包装し、ノリのついている面をしっかり押さえて封をすれば完成。最後にダンボールにまとめ梱包してお客様の元に発送します。
まとめ
アクリルスタンドはデータ作成から始まりアクリルのカット〜印刷〜検品〜包装という工程を経て作成されていることがわかりました。アクリルを自由な形にカットして、オリジナリティあふれるアクリルスタンドを作ってみてください。